冬だぜ、蟹だぜ! でもなぜに冬なんだぜ?
どうせ食べるなら旬から知っておこう。

カニと言えば冬。なぜ冬に食べるのか疑問に思い、周囲の人間に聞いてみた。

A.冬しか獲れないんじゃないの?
B.カニ漁解禁時期が決まってるからでしょ?
C.高級食材だから年末ウハウハで食べるのがいいんでしょ?

なんか1と2がそれっぽいが、ちょっと調べてみた(3は言い方も投げやりだったから置いておく)。
まず獲れる時期は『一年中獲れる』。春でも夏でも一応ガスガス獲れているそうだ。この時点でAが脱落。しかし、ズワイガニは漁期が決まっていて、その解禁日は海域や雄雌で違いがあるものの、だいたい10~11月から3~5月と決まっている。つまりBが正解のようである。
……が、実際は『カニは年複数回脱皮する子』であり、脱皮直前のカニが一番身が詰まっていて美味いんだとか。
脱皮したばかりのカニは『若蟹』、直前のカニを『堅蟹』と呼び、通はこの堅蟹を選ぶそうです。
脱皮時期は種類で違いがあり、種類に合わせての選び方があるようなので、味や食べ方とともに、以下にまとめて比較してみます。


タラバガニの味と特長、そして旬

タラバガニ十脚目(エビ目)- 異尾下目(ヤドカリ下目)- タラバガニ科 – タラバガニ属
『タラバガニ』と言っておきながらヤドカリの仲間です。言われてみれば触覚がヤドカリっぽいような……。
脱皮の時期を避け、おいしくなる時期は4.5月と9.10月。実は年末商戦に煽られて考えなしにタラバを買うとスカスカなんてことも。
美味いタラバガニの見分け方は『甲羅に傷やフジツボ、黒いつぶつぶが付いているもの』、要は脱皮直前まで使っている古い甲羅のものをえらべってことですね。
タラバガニの特長はズワイガニや毛ガニと比較すると、味の繊細さでやや劣るものの、身がデカく『カニを食べてる!』的なガツンとしたカニです。しずしずと繊細な味を楽しむと言うより、『今日は蟹だぜ! カニ汁浴びんばかりにむしゃぶりつくんだぜ!』に向いています。

毛ガニの味と特長、そして旬

毛ガニ十脚目(エビ目)-短尾下目(カニ下目)- クリガニ科 – ケガニ属
別名オオクリガニ。茹でガニはもちろん、焼きガニにするとさらに甘みが出て、ただでさえ無口にさせるカニタイムにミュートをかける憎いやつ。うまい時期は日本で獲れた毛ガニだと12~2月頃、オホーツクだと4~7月。3.8月は脱皮時期にはまるのでなるべく避けたほうがいいかも。
毛ガニはその身もさることながら、濃厚なカニミソが詰まっていて、カニミソファンの間ではトップスター。よく上海ガニと論争が起こされ、ネット上で大人げない戦いが繰り広げられている。

ズワイガニの味と特長、そして旬

ズワイ十脚目(エビ目)-短尾下目(カニ下目)- ケセンガニ科 – ズワイガニ属
ズワイはズワイでも主に福井県で獲れるものを『越前がに』と読んでブランド化されています。違う種類ではありませんのであしからず。

ちなみにオスのカニを『越前がに』メスのズワイガニを『セイコガニ・ペッコガニ』と呼び、越前ガニがとれる地元ではこれまた人気を二分する存在。セイコは身体がオスに比べて二周りほど小さいけど、酒が止まらなくなる『内子(卵巣)』とプチプチの『外子(卵)』が特長。セイコ界に落とされる食通は数知れず。
カニミソの旨さは毛ガニと人気を二分するほど。そして毛ガニに比べ食べごたえがあり、タラバを凌ぐとの言われる繊細で絶妙なうまさの身。タラバが『バクッ!』なら、ズワイは『ちゅぽんっ!』といけるみずみずしさ。
トータルのバランスがとれていて、『一番カニらしいのはズワイガニ』とも噂され、また議論に発展しています。
一体、争いの起こらない時代はいつやってくるのでしょうか?
……といった具合に代表的な日本三大食ガニの比較でした。
金額的には
毛ガニ > タラバガニ > ズワイガニ
って感じです。

まあ、今更ですが、最初にカニを食べた人ってありがたいですが、相当な勇者か変態のどっちかだったと思います。ビジュアル的に。

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